整備士が知らない…かもしれない整備工場の苦情相談担当者の『ひ・と・り・ご・と』

整備士が整備工場で勉強しようと思っても出来ない整備に関わるユーザーからの苦情、整備工場からの相談を綴ります。法律的なところは専門家ではないので鵜呑みにせず参考程度に。古い話で記憶もあやふやですが自分の笑える失敗話や整備の話もほんの少し。依頼があれば事例内容を紹介する講習会もやります。実例を知ってトラブルを防止しましょう。

日本茶 ⑭ 半分返せ

 

    諸経費等全て込み(支払総額と内容を全て明示)の40万円でメーカー系販売店から中古車を購入したが、乗って帰るとき、ステアリングを操作するたびに「カタンカタン」と何らかの不具合があるであろう音がする。

 

    購入した店が「点検整備済み」だというから信用したのに点検整備をせずに車を渡されたものだと思う。

 

    他に・・・

    ・ボディは洗車されていたが細部は埃にまみれで手が真っ黒に汚れた(総額40万円の中古車ですから)

    ・オイルもゲージの半分の位置までしか入っていなかった(別段問題なく正規です)

    ・セールスマンのマナーがなってない(たまたま一回だけ挨拶していないだけ)

    ・怖くてもうこの車に乗れない(何が?)

    ・修理は他店でする(どうして?)ので20万円を返金するよう(意味がわからん)売店に伝え、支払うように言ってくれ(なぜ私が?)

 

 

    不明なことばかりなので先ずは、瑕疵担保責任について説明した。 

    中古車の隠れた瑕疵と、それ以外についても購入時の条件によっては補償される旨、伝えた。

    特に今回は、購入後すぐのことなので販売店に不具合を伝えれぼ、保証の範囲内において、無償で対応してくれると思う。販売店とじっくり話あってはどうかとアドバイスしたが、「半分の返金に応じるかどうかの話しかしない」と。

 

    販売条件もトラブル箇所も限定できていない状況(お客様の話だけ)で単にお金を返せという話ならこれ以上話は聞けない。

    正直、苦情内容は理解を超える部分が多い。

 円満解決に向けた話し合いを模索したいのであれば私から販売店に連絡して話を聞き、善処したい、と伝えた。

 

    当該事業場の担当者に話を聞くと、音の原因はステアリングシャフト。

 すでに部品は入荷し、無償で交換することも伝えている、という。

 

    ただ、購入後すぐであったことから金銭的補償(半額返金)を言い続けているらしい。

 

    販売条件に照らし合わせると販売店に非はない。

  また、販売店は販売条件以上の対応をすることはないとも言っていた。

 それをユーザーに伝えたところ「業界側に立った話しか出来んのか!善処するといったじゃないか。ユーザー側の立場に立って半額返金に応じるよう、もっと強く言え」という。

    そこで、今度は苦情内容について、『音の原因』『その対処』『契約内容』『半額返金の根拠』『社内の汚れ』等、一つ一つ論破。

   (第三者だから出来るが、こちらとトラブルになることもあるので空気を読みながら)

   

 事業者側の対応になんら問題はなく、どうしても返金をお望みなら専門家に相談してください。こちらからは事業者にそのことは言えません、と伝えたが、それでもいろいろいっていたので、あまり言いたくなかったが「電話内容を録音していること」と「ナンバーディスプレイで電話番号が表示されていること」を伝えたら、先方から無造作に電話を切った。

    その後、販売店にはこの経緯だけは説明しておいたが、この後特に問題は発生していない。