整備士が知らない…かもしれない整備工場の苦情相談担当者の『ひ・と・り・ご・と』

整備士が整備工場で勉強しようと思っても出来ない整備に関わるユーザーからの苦情、整備工場からの相談を綴ります。法律的なところは専門家ではないので鵜呑みにせず参考程度に。古い話で記憶もあやふやですが自分の笑える失敗話や整備の話もほんの少し。依頼があれば事例内容を紹介する講習会もやります。実例を知ってトラブルを防止しましょう。

レンタカー費用の減額

 

 軽トラックに乗ったお客さんが信号待ちで追突事故に見舞われた。

 相手の過失100%の物損事故で修理の依頼を受けた。

 

 被害者は農家で、修理期間中に代車がいるという。

 部品が入ってきたら交換という手配にし、修理に預かる日だけ代車を出す約束を保険会社に伝えて了承してもらった。

 

 

 

 代車は‘‘わ’’ナンバーの軽トラックのレンタカー(年式は事故車より3年古いが同じ型で走行距離は少ない)を4,500円/日で用意した。

 

 修理金額と軽トラックのレンタカー費用を見積もって保険会社に送ったところ、保険会社は「修理費用は了解したが、レンタカーは年式が古いので3,000円/日なら払う」と通告してきた。

 

値引き交渉でも協定でもなく一方的な通告

 

 ・100:0の事故

 ・貸し出したのはレンタカー

 ・事前了解も取った

 

 再考を促したところ、・・・

 

「それでは弊社は貴社と裁判をします。弊社顧問弁護士に連絡しますので弁護士から連絡が入るまで作業を待ってください」と突然電話が切られた。

 

 なにこれ?

 

 うちはこの保険会社の代理店ではない。

 しかし、社員とは面識もあり、何度も協定している。

 長期修理の時はレンタカーの値引きなどにも応じてきた。

 この通告・・・正直、驚いたし、心外だし、腹立たしいし。

 

 

 

 

 

 弁護士から電話が入るというので、その間いろいろ調べてみた。

(もちろんこちらの弁護士にも聞いてみた)

 

 近隣の事業者に聞くと、「うちも」というところが何軒かあった。

 最近多いとも。

 

弁護士には

 『債権不存在確認訴訟』と聞いた。

 

 “支払わない”という裁判ではなく「当社には3.000円の債務しかなく、それを超える1,500円の債務は存在しないということを法的に確認する」裁判なんだと。

 

 なんだか難しいが、人損事故で人的被害の治療(鞭打ち)が長引いているときに行う裁判らしいが、通常、物損ではしないとも。

 

 3000円は工場代車で支払われる“謝金”と同じ金額で、いわば実費。

 今回の代車はレンタカー。設定金額が決まっている。

 

 合法かと聞いたら「法は犯していない」らしい。

 要はモラル的なものか。、だとしたらモラルの低い保険会社だ。

 

 それにしてもこのやり方は(弁護士云々を匂わすことも含めて)フェアではない。

 

 「長期貸し出しだから値引きして」という相談ではない。

 「債務はこれだけしか存在しない」と法的にはっきりさせにきている?

 ということは、けんか売ります的な感じ?。

 

 

 

 

 保険会社としては「差額1,500円を取るために整備工場が弁護士を立てて裁判で争うことはない」と考えているようだ。

 

 なめられている?

 

 実際、弁護士費用は「売掛金」の項で書いている。

 今回は、前日から預かっても差額は2日で3000円。

 そんな金額では弁護士の先生に依頼できない。

 

 泣き寝入りさせようと、意図的にこれをちらつかせていたら悪質。

 

 

 で、いろいろ考えた結果、依頼者(被害者)に請求することにした。

 

 100:0の被害事故なので被害者は加害者に損害を請求する(当たり前)。

 保険会社は契約者(加害者)にその金額を支払えばいい。

 

 

 要は、うちとしては保険会社を無視した。

 二週間待ったが相手弁護士からの連絡はなく、代金は依頼者(被害者)から受け取った。

 うちは保険会社から受け取ろうが加害者が払おうが知ったことではない。

 もらえればいいのである。

 

 このことがあってから、事故で入庫があった時には、相手(保険会社)から支払いのない場合は依頼者が支払う旨誓約する『支払い誓約書』を作ってサインをもらうようにした。

 

 幸い、まだ一度も使ったことはない。(笑)

 当該保険会社もあれから同じようなことを言わなくなった。