整備士が知らない…かもしれない整備工場の苦情相談担当者の『ひ・と・り・ご・と』

整備士が整備工場で勉強しようと思っても出来ない整備に関わるユーザーからの苦情、整備工場からの相談を綴ります。法律的なところは専門家ではないので鵜呑みにせず参考程度に。古い話で記憶もあやふやですが自分の笑える失敗話や整備の話もほんの少し。依頼があれば事例内容を紹介する講習会もやります。実例を知ってトラブルを防止しましょう。

持ちかえる途中でバースト

 

    会社所有の商用乗用車。全部で12台。

 基本的に一人1台、同じ人が使う。たまに違う人も使うことはある。

       

    12台の検査・修理は、すべて相談してきた事業者が請け負っている。

 

    そのうちの1台の検査を依頼され、車を引き取りにいった。

 車を預かった帰り、タイヤも温まっていないような時間・距離でフロント右タイヤがバーストした。

  

    金属片を踏んだとか縁石に乗り上げた等ではない。

    タイヤ自体は2年前に交換している。

   

 ではなんだ?

 

    答えはすぐに出た。

    バーストしたタイヤだけが当社で取り付けたものと違う。

 2000年製の古い別メーカーのものに変わっていた。

 

 誰かがどこかで交換した以外、考えられない。

   そこで他の社員に聞いてもらった。

 誰も交換した記憶がないという。

 

    車両の使用状況は 半径50km内外のルートセールスが主。

   交通違反等には厳罰が下されるので乗り方は至って普通。

   

    当社が持ちかえる途中の出来事だったことから所有者(会社)が、「整備事業者はそういった時のために対応する保険(受託者保険?)に入っているはずだからそれで対応してもらったら?」という提案をしてきた。

 

・1本だけが古いタイヤであったこと

・そのタイヤに交換したのは当社でないこと

・当社従業員が持って帰る途中でのバーストはタイミングの問題。

 

    保険の提案が腑に落ちない。

 

    車両管理を担当している人は、道理のわかる人で無茶は言わない。

   バーストしたタイヤの料金は1本1万5千円ほど、

    しかし、お金の問題ではない。

    

    保険で交換するのは難しい(実際は無理と言われた)内容。

    使うにしても免責金額の方が高くなり、意味がないとも。

 

    保険の範囲になく、整備事業者に落ち度がないのなら、会社の保守管理責任の範囲だと考えられる。

 しかし、会社側の口調は自分たちに落ち度はない、と。

 

    ただ、それを事業者が、クライアントに対し口に出せるかどうか。

    下請法(下請代金支払遅延等防止法)の対象にもならない。

   

 難しい問題だが対応は事業者の判断に委ねる。