整備士が知らない…かもしれない整備工場の苦情相談担当者の『ひ・と・り・ご・と』

整備士が整備工場で勉強しようと思っても出来ない整備に関わるユーザーからの苦情、整備工場からの相談を綴ります。法律的なところは専門家ではないので鵜呑みにせず参考程度に。古い話で記憶もあやふやですが自分の笑える失敗話や整備の話もほんの少し。依頼があれば事例内容を紹介する講習会もやります。実例を知ってトラブルを防止しましょう。

代車の話 ⑦ 無類の人の好さ

 

 

    中古エンジンに載せ替えた軽自動車。

    納車前になって『料金が払えない』といい始めた。

 

 それでは車は渡せない、と納車を拒否。

(これは正解。ただ、このあとがおかしい)

 

    しかし、田舎なので車がないと生活に困るので一筆書かせ、納車ではなく代車を貸すことにした。

  (もはや代車とは言えないし、事業者のやさしさは危機的な状況)

 

    ところが、お金が出来たら入れ換えにくる約束をしたのに一週間ほど前から連絡が途絶えた。

(客観的にみると、支払いが出来ない人に代車を出すことがすでにトラブル)

 

   さらに 昨日、聞いたことのない会社から、「未払金の回収に動いている。その客の所在が解れば教えてほしい」という連絡があった。     

 

  代車は貸し出した事業者の名義。車検も自賠責もあと数か月で切れる。

 

     以前、代車を無車検で使い続けられて事故をされ、現場に放置されて逃走されたことがあり、その時のことが頭をよぎる、と。

(それでも今回代車を出しているのだからなんという人の好さ)

 

 『代車貸し出しノート』を作っていたかと聞くと、「作っている」という。ただし、貸した日を記入し、返却予定日は未記入。

    一応、民事不介入の警察だがそれを持っていけば受け付けてくれるかもしれないので届けておくようアドバイス

 

 なぜ返却予定日の記入が必要なのか

 

 無償で貸して、期限を切って(返却日の予定)いて約束を守らなければ『横領』

 

 『窃盗』は勝手に乗って帰った場合

 

 『詐欺』はだまして車を乗って帰った場合

 

 貸出ノートを作らず車を貸し出している事業場は、『無期限で車を貸している』ことになる。

 

    この場合、車に乗り続けられ返さなくても犯罪にならない可能性が高い。

 

 車検だから3日もしたら戻すのが当たり前だ、なんてのは通用しない。

 

 また、好意で貸したのに・・・というのも一緒。

    好意は、貸した人に良心があれば感謝してもらえるがそうでない人からは『仇』で返されるもの。それが『記帳なし代車』。

 返ってこない場合のことは考えておいた方がいい、と思う。

 

 代車を貸して返す日を記入し、サインをもらうのは今や常識。

 

 警察に届けたら、差しさわりのない程度の情報をいろいろ教えてくれたらしい。

(責任の回避が出来るわけではないが届出は必要。よく代車ノートを付けていたもの)

 

    車両は修理が済んでいるので、取り来ないのなら損害賠償請求(工場敷地内に放置しているので訴訟)も準備したいが、相手が支払ってくれる見込みがないので専門家を雇う意味がなく、雇っても『ない袖は振れない』から未収金は回収できないし、費用も持ち出しで無駄になる。

 

 警察に届けたら、あとは事故をされないことを願うだけ。

 とりあえず、検査・保険の切れるまでは警察に頻繁に顔を出し、車の所在を確認し続けることにして、一旦ここで話を終えた。

 

 後日、(と言っても検査が切れる数週間前)車は返ってきた(良かった良かった)そうだが、修理代金を受け取ってないのに毎月一万円づつ支払う約束(いわゆる自社ローン)を口頭でして車を渡したらしい。(はぁぁぁ・・・)

 

 それを聞いた私は、支払いが半年を待たずに止まると予想し(口には出していない)、定期的に連絡を入れていたら3ヶ月目で遅れ、4ヶ月目に止まっていると聞いた。

 

 これは確実に未収金になるだろう。

(私の知ったことではないが辛い話だ)