整備士が知らない…かもしれない整備工場の苦情相談担当者の『ひ・と・り・ご・と』

整備士が整備工場で勉強しようと思っても出来ない整備に関わるユーザーからの苦情、整備工場からの相談を綴ります。法律的なところは専門家ではないので鵜呑みにせず参考程度に。古い話で記憶もあやふやですが自分の笑える失敗話や整備の話もほんの少し。依頼があれば事例内容を紹介する講習会もやります。実例を知ってトラブルを防止しましょう。

代車の話 ④ 貸出し表を作るなら

貸出表?貸出ノート?なぜそんなものが必要なのか

何を記しておけばいいのか



皆さんは、私の聞いた代車のトラブルで一番多かったのはなんだと思いますか?

傷? 事故? ガソリン入れない? 犬猫動物乗せる? 喫煙? 室内泥砂まみれ? 遠方旅行?

まぁあるわ、あるわ(笑)トラブルまみれ。

他にもありますが

もっとも多いのはこの中になく、車が『返ってこない』『返してもらえない』です。

そんな時に頼りなるのが警察だ!と思っている人。

残念ながら、警察に頼れるのは『犯罪になってから』です。

つまり、貸出し表を作っていなかったら、クルマは『永久に貸した』体になっています(という理屈は普通では考えられない)。


だから、記帳内容で最も大事なのは、『返してもらう(予定)日』の記入です。

本人のサインと貸し出した車がなにであるかを記帳するのは必須です(笑)

事故などで長期にわたるときは大体の予定を記入して、一週間か10日くらいのスパンで連絡を入れる(入れてもらう)ようにするのもリスクを減らします。


貸したクルマと戻す日を記帳したものにサインがあるのにその車を乗り続けたら・・・

盗難?違います。黙って車を乗り逃げしたのではありません。

詐欺?違います。騙して車を借りたのでもありません。

そう、横領です。使用貸借契約を結び、期限を切って貸したのだから、そのまま乗り逃げしたら横領になります。
これで立派な犯罪です。

逆に、記帳等、記録をしていなかったら、クルマを乗り回されていても何の罪にも問えないそうです。

1日や2日くらいなら角を立てる必要もないと思いますが、1ケ月、2ケ月となればちょっと待てよ、となりますよね。


そしてこの場合も、売掛金と同じで、貸してトラブルになるのは多くが『身近な人』です。

では、記帳ノートをもって警察に行って受理してもらいましょう。身近な人を犯罪者にするために・・・。
そういわれると、いくらなんでも気が引けます(笑)

でも貸さないわけにもいかない。整備事業者のつらいところです。

ただ、このことを知って貸すのと知らずに貸すことではリスクに大きな差があると思いませんか?

落とし穴を見ながら回り道できると思います。
でも回り道に落とし穴がある可能性もあるんですけどね。

そんな落とし穴は私も経験したことがないので、そのときは専門家にまかせるほうがいいかも、ですね

ちなみに記帳していなくても警察はこちらが探し回ることについては協力してくれる人のほうが多いようです。
ですが、『積極的』には動いてくれません。
犯罪が成立していないから、と考えることができます。


本当は怖い代車の話ですが、これから事例もどんどん載せていきます。