整備士が知らない…かもしれない整備工場の苦情相談担当者の『ひ・と・り・ご・と』

整備士が整備工場で勉強しようと思っても出来ない整備に関わるユーザーからの苦情、整備工場からの相談を綴ります。法律的なところは専門家ではないので鵜呑みにせず参考程度に。古い話で記憶もあやふやですが自分の笑える失敗話や整備の話もほんの少し。依頼があれば事例内容を紹介する講習会もやります。実例を知ってトラブルを防止しましょう。

留置権の行使

 素人の私がこういった話を勉強するきっかけとなった事業場の話です

 

 6ヶ月の保証付き中古車を販売した。

 

 保証期間のことは販売時に再三説明し、車は市場価格より割安でしたからユーザーもご満悦だったそうだ。

 

 

 

 ところが購入して8ヶ月目(7ヶ月と少し)にエンジンが故障(原因はスターターだが走行8万kmなので完全な不可抗力)した。

 

 見積もりは120,000円強。

 見積りを書面で郵送し、口頭で依頼されて修理を開始した。

 

 ただ、保証期間を過ぎて2ヶ月弱 

 「不可抗力でこちらに責任はない」、とはいえ道義的責任は感じた事業者さんは、見積金額ではなく、部品代(マイナーパーツ含む70000円)と工賃10000円+消費税を請求した。

 

 つまり、損はしないが、利益などない2/3の料金。

 

 ところが 「見積もりも出さず、勝手に修理した上、高額な請求をしてきた」 と、“ごね”始めた、そうだ

 

 保証期間後、すぐに壊れたのでクレーム処理(無償)させようとする魂胆か。

   

    しかし、ルールはルール。

 販売契約に基づき、契約を履行しているだけ。本来なら値引きの必要もないものと考えている事業者は、修理値引きではなく、保証期間を過ぎたとはいえ、気の毒だと、あくまでも 道義的責任 としての対応をしたと。。

 

 

 

 書面で契約はしていないが見積もりを交付し、修理も依頼されて行っている。

 

 スターターは分解整備でも点検整備でもない一般修理。

 これ以上譲歩するものはないとした事業者。

 

 ユーザーは、関係省庁に苦情を持ち込み、その関係省庁が電話をしてきたそうだが「民事に介入するな」と一喝したそうだ。

 

 ユーザーが『クレームで無料にしろ』というのは、最初に結んだ売買契約をないがしろにするもの。

 

 修理代金(道義的責任を感じ減額した金額)を持って来れば車を渡す。

 お金を払わないのに車は渡せない。当たり前だ。 (留置権の行使)

 

 

 

 

 事業者は、これ以上工場に車を置いたままにするなら車両預かり料(損害金)を請求するというと、「車を取り返すために盗難届を出すぞ?(もはや意味不明)」とまで言い出したそうだ。

 

 こんなやり取りが1ヶ月以上続いたある日、担当者不在時に、事務員にとんでもない罵詈雑言(早く車を渡せというレベルではない)を浴びせた。

 

 お客さんでもやっていいことと悪いことがあるレベルだったので警察にその内容を通報。

(詳しく書けないがこういうレベル)

      ↓

    警察から連絡を入れてもらった。

 

 保証期間を過ぎた車の経時変化で発生する消耗品のトラブル。

(中古車の消耗品は保証対象外なのが一般的)

 

中古車販売契約にも消費者契約法にも違反しておらず、

 

 

 

 こちらに一切、非はない

 

と、最後まで毅然とした対応を貫いて解決。

 

 車両預り料は請求していないが、修理代金はルールなので無償には出来ないと、ほぼ原価程度まで妥協した、という話。

 

 もしスターターに問題があるなら、メーカーの製造物責任でPL法の対象 だとも。

 

 今後も依頼があれば修理するといっていたが、この後、連絡はないそうだ。

 

    この話は売掛金に通じるものがある。

    このときの私の知識レベルは、留置権?なにそれ?」という程度でした    のでほんと、勉強せな、と思いますた(笑)

 

    それから裁判所にも出入りするようになっていろいろ少しづつわかってきた。

 

PL法もそれまでは中途半端な勉強しかしていなかったので勉強しなおしました(笑)